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なぜ「いい人」を演じると疲れるのか?

目次

はじめに

「家での自分」と「学校や職場での自分」、あなたは同じですか? 外の世界では空気を読んでニコニコしているのに、家に帰るとどっと疲れてしまう。そんな経験は誰にでもあると思います。

今回は、対人関係の心理学の視点から、私たちの心が持つ「二重構造」について紐解いていきます 。

心は「カラ」と「中身」でできている

私たちの心は、大きく「外側」と「内側」の2つに分かれています。

中身(内側): 自分でも気づいていない無意識の本音や、意識しているけれど外には出さずに隠している感情のことです。
カラ(外側): 外部に見せている姿や社会的な役割のことです。他者と関わるための「インターフェース(仮面)」とも言えます。
この「カラ」は、決して悪いものではありません。傷つきやすい「中身」を外の世界から守ってくれる大切な機能を持っています。 しかし、カラが分厚くなりすぎると、本来の「本当はこうしたい」という中身の自由な表現をどんどん制限してしまうという「両刃の剣」でもあります。

人格の成長は「カラの脱皮」

人は成長するにつれて、古いカラを脱ぎ捨て、新しいカラを身につけていきます。そのプロセスは大きく4つの段階に分かれます。

乳幼児期(未分化期): カラと中身の区別がなく、感じたことがそのまま行動に出る「ありのまま」の状態です。
児童期(家庭への適応): 家族に受け入れられるために「いい子」や「気が利く子」「お調子者」といった最初のカラを作り上げます。
オトナのカラ(社会への適応): 親元を離れ、社会で通用する「常識人」や「空気を読む人」のカラを身につけます 。嫌な相手にも笑顔で接するなど、感情を隠すことができます。
大人(たいじん)のカラ(自己実現・成熟): 大人と書いて(たいじん)と読みます。器の大きな人という意味です。社会的な適応を維持しながらも自分の「中身」も大切にできる成熟した姿です 。必要な時は「ノー」と言え、自分の価値観を行動の基準にします。

なぜ思春期や青年期はあんなに苦しいのか?

思春期から大学生にかけての時期、心がひどく不安定になったり、親に強く反発したりすることがあります。これは、家族の中でしか通用しない「子どものカラ」を壊し、社会で通用する新しいカラを作り直す「脱皮」のプロセスにいるからです。

この時期が苦しいのは、あなたがダメとか親不孝だからではなく、まさに「脱皮中」だからなのです。

「オトナのカラ」を被り続ける危険性

社会に出ると、私たちは必死に「空気を読むオトナのカラ」を維持しようとします。しかし、社会適応を優先して中身を強く抑え込みすぎると、やがて限界を迎え、中身が反乱を起こします。

燃え尽き症候群: 「いい人」を演じ続けた結果、何も感じなくなり、やる気がゼロになります。他の人の仕事を引き受けすぎたり、オーバーワークをし過ぎると燃え尽きてしまいます。
突発的な爆発: 抑えてきた感情が制御不能になり、突然怒りや涙が溢れ出します。堪忍袋の尾が切れると抑えが効かなくなります。
身体症状: 頭痛や胃痛、不眠など、心が我慢しているサインが直接身体に現れます。頭痛が出てもいつも頭痛薬で抑えてしまうと癖になります。

目指すのは「オトナ」ではなく「大人」

私たちが最終的に目指すゴールは、社会に合わせることが最優先の「オトナ(カタカナ)」ではなく、中身と調和した「大人(漢字)」のカラを手に入れることです。

まずは、今日1日を振り返ってみてください。 あなたが家で演じている「子どものカラ」と、外で演じている「オトナのカラ」には、どんな違いがあるでしょうか? 自分の被っているカラに「気づく」ことが、本当の大人へと成熟していくための第一歩になります。

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