自己実現のポイント 真のセルフを生きる
目次
自己とは
心理学者のC.G.ユングは、上の絵を描き次のように説明しています。
精神は、表面に明るい場（A）を持つ球体に例えることができる。
Aは意識を表す。Ego（自我）は意識の中心である。私が知っていることだけが意識である。
Self（自己）は核であると同時に球体全体である。
Selfの内部調整プロセスが夢を生み出す。
シンプルにすると、私たちの精神は小さな明るい点の意識とそれ以外の無意識の領域から成り立っている。
意識とは私たちが認識していることである。
無意識とは私たちが認識していないものである。
自我は意識の中心であり、自己は精神の中核であると同時に精神全体でもある。
夢は自己が生み出すもので、私たちの精神を調整する働きを持っている。
よく喩えられるように、意識は海の上に出ている氷山の一角であり、海の中には巨大な無意識の氷山が存在しています。
自我とは「私」という感覚です。
それに対して自己とは意識することができません。なぜならば意識から離れているからです。
自己が意識に届く方法は、夢や空想、インスピレーションや直感、雰囲気や気配、身体感覚、第六感や虫の知らせなどです。
そして、自己が意識に届く体験をヌミノーズムと言います。ヌミノーズムを体験するとき、私たちは深い感動を感じます。
自己実現の落とし穴
実は、巷で言われている自己実現は、自己の実現ではありません。
自己実現ではなく自我の実現です。
自我実現は、自我（Ego）の願望を実現することです。
「私」はこうなりたい！と自我を強く意識して、自我の欲求を実現するものです。
・幸せを引き寄せたい！
・お金持ちになりたい！
・なりたい自分になる！
・夢や目標を叶えたい！
・理想や憧れの生活を送りたい！
・仕事もプライベートも充実させたい！
・専門分野で能力を発揮したい！
・本当にやりたいことをやる！
・自分らしくいる！
このようなキャッチフレーズは全て自我実現です。
自我は社会への適応を第一に考えます。
そして適応する社会とは資本主義という競争社会です。
自分第一主義の資本主義社会の弊害はとても大きいです。
真の自己実現とは
先述のように、自己が意識に届く方法は、夢や空想、インスピレーションや直感、雰囲気や気配、身体感覚、第六感や虫の知らせなどです。
真の自己実現とは、無意識からやってくる自己（セルフ）のメッセージを実現していくことです。
そして、自己が意識に届く体験（ヌミノーズム）には深い感動があります。
自己実現とは魂が揺さぶられる感動を生み出すものです。
自己は無意識からやってきます。無意識とは意識下のことです。海の上に出ている氷山の一角が意識ですが、海の中には無意識という大きな氷山があります。
そして、自己とは意識と無意識の中心であり、意識と無意識を合わせた全体でもあります。
夢などの自己が生み出すものは、私たちの精神を調整する働きを持っています。
自我の実現ばかり求めると自我が肥大化して、精神はアンバランスになります。
自己を実現することは、自我の肥大化を抑えて、精神を調整します。
なぜならば、自分第一主義ではなく、相手の幸せも大切にするからです。
思考第一主義ではなく、感情も身体も大切にするからです。
意識第一主義ではなく、無意識からのメッセージを大切にするからです。
マジョリティ第一主義ではなく、マイノリティも大切にするからです。
左脳第一主義ではなく、右脳も大切にするからです。
男尊女卑ではなく、男と女の違いを分かりながら、お互いを尊重するからです。
世界に一つだけの花
歌：槇原敬之 作詞：槇原敬之 作曲：槇原敬之
花屋の店先に並んだ
いろんな花を見ていた
ひとそれぞれ好みはあるけど
どれもみんなきれいだね
この中で誰が一番だなんて
争うこともしないで
バケツの中誇らしげに
しゃんと胸を張っている
それなのに僕ら人間は
どうしてこうも比べたがる?
一人一人違うのにその中で
一番になりたがる?
そうさ 僕らは
世界に一つだけの花
一人一人違う種を持つ
その花を咲かせることだけに
一生懸命になればいい
困ったように笑いながら
ずっと迷ってる人がいる
頑張って咲いた花はどれも
きれいだから仕方ないね
やっと店から出てきた
その人が抱えていた
色とりどりの花束と
うれしそうな横顔
名前も知らなかったけれど
あの日僕に笑顔をくれた
誰も気付かないような場所で
咲いてた花のように
そうさ 僕らも
世界に一つだけの花
一人一人違う種を持つ
その花を咲かせることだけに
一生懸命になればいい
小さい花や大きな花
一つとして同じものはないから
NO.1にならなくてもいい
もともと特別なOnly one
真のセルフ（自己）を生きる
世界に一つだけの花は、自己実現の歌です。
小さい花や大きな花、一つとして同じものはないから、NO.1にならなくてもいい、もともと特別なOnly one。
C.G.ユングは、自己実現のことを「個性化の過程」と呼んでいます。
一人ひとりが個性を開いていくという意味です。
一人ひとりがセルフ（自己）を生きていくと、すべてが特別なOnly oneになります。
ある人はOnly oneの営業マンになります。
ある人はOnly oneの社長になります。
ある人はOnly oneの画家になります。
ある人はOnly oneのYouTuberになります。
ある人はOnly oneの研究者になります。
ある人はOnly oneの漫画家になります。
ある人はOnly oneのフリーターになります。
ある人はOnly oneの主婦（主夫）になります。
ある人はOnly oneのお母さん（お父さん）になります。
自己実現とは「何になるか」ではありません。
自己（セルフ）を生きることが自己実現であり、個性化です。
それは人の真似をする生き方ではありません。
自分自身を生きます。
自分自身を生きているとOnly oneの何かになります。
セルフに気づくコツ
セルフは意識から離れています。
そのため、セルフを生きるには、それに気づき、そのメッセージを捉える必要があります。
夢や空想、インスピレーションや直感、雰囲気や気配、身体感覚、第六感や虫の知らせなどがセルフのメッセージです。
私たちは「私」という自我を重要視しているので、それらのメッセージに気付けなかったり、無視したりします。
明確に意識できて、価値を見出すものにしか自我は注目しません。
そのため「なりたい自分になる」「幸せを引き寄せる」などのキャッチコピーに飛びつきます。
そして自我実現を目指してしまいます。
しかし、その先にはなりたい自分も幸せもありません。
セルフに気づくには、方向性を変えなければなりません。
「私」が追い求めるものではありません。
むしろ向こうから近づいてきます。
近づいてきたセルフに気づき、立ち止まり、メッセージに耳を澄ませ、それを生きます。
しかし、私たちは自我が強いので、「気のせい。意味がない。ただの空想だ」と切り捨ててしまいます。
小さい「私」が必死に抵抗します。怖いんです。
セルフは「私」よりも大きいからです。
私たちはセルフに畏怖の念を感じながら、同時に魅力も感じます。
なぜならば、これまで分からなかった生きる意味を教えてくれるからです。
自我の実現では満たされないのが「生きる意味」です。
頑張って働いてお金を稼いだけれど・・・
世界中を旅行したけれど・・・
美味しいものはたくさん食べたけれど・・・
大好きなお酒やビールは毎日飲んでいるけれど・・・
理想的なパートナーに出会えたけれど・・・
周りからは尊敬されているけれど・・・
勝ち組になったはずなのに・・・
仕事もプライベートもうまくいっているはずなのに・・・
なぜか満たされない。
「こんなことのために生まれたのだろうか？」
このような時に、それまで無視してきたセルフの声に耳を傾けたくなります。
セルフと出会う準備
セルフのメッセージを受け取るには準備が必要です。
セルフが私たちにメッセージを送る時、夢や空想、インスピレーションや直感、雰囲気や気配、身体感覚、第六感や虫の知らせなどでやってきます。私たちは、これらを「気のせい」として無視する傾向があると述べました。セルフは「私」よりも大きく、向き合うのが怖いから無視します。
それとは別に、現代社会を生きる私たちは、思考・感情・体の機能が十分に発揮されておらず、それらのバランスが良くありません。
頭の中では絶えず考え事をしているので一つのことに意識を向けることができません。
感情は思考と結びつき、出来事を自分なりに解釈するので、思い込みが生じて気分に影響を与えています。
特に体は後回しにしている人が多いです。感じたり、体の声を聞いたりすることができなくなっています。
このような思考・感情・思考では、セルフのメッセージを受け取ることができません。
セルフと出会うには、思考・感情・体を整えることが必要です。
雑念だらけの思考をクリアにして、感情を純粋に感じられるようにし、微細な感覚を感じられるようにします。
セルフを実現することは、一人ひとりがOnly oneになっていくことですが、それ以前にセルフと出会えるように自分自身を整えていく準備が必要です。
思考・感情・体が整い、それらのバランスがよくなると、セルフのメッセージを聞けるようになります。
まとめ
自己とは・・・自我は意識の中心であり、自己は精神の中核であると同時に精神全体でもあります。
自己実現の落とし穴・・・巷で言われている自己実現は、自己の実現ではありません。自己実現ではなく自我の実現です。
真の自己実現とは・・・真の自己実現とは、無意識からやってくる自己（セルフ）のメッセージを実現していくことです。
真のセルフ（自己）を生きる・・・一人ひとりがセルフ（自己）を生きていくと、すべてが特別なOnly oneになります。
セルフに気づくコツ・・・自我を実現したけれどなぜか満たされない。このような時にそれまで無視してきたセルフの声に耳を傾けたくなります。
セルフと出会う準備・・・セルフと出会うには、思考・感情・体を整えることが必要です。雑念だらけの思考をクリアにして、感情を純粋に感じられるようにし、微細な感覚を感じられるようにします。
カウンセリングルーム草木萌動では、カウンセリングの他、セルフと出会う準備のためのクラスも行っています。