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発達性トラウマ

人生早期のトラウマ体験を発達性トラウマといいます。発達性トラウマは、通常のトラウマ(例えば、自然災害や事故、犯罪、戦争に巻き込まれる、人間関係で暴力やいじめ、ハラスメントを受ける、大切な人の死別体験など)とは全く異なります。

発達性トラウマとはどのようなものか、そして、発達性トラウマの治療法について述べてみます。

目次

幼少期のトラウマ

小児期の逆境的体験(虐待、家族の機能不全、その他トラウマ体験)をACE(Adverse Childhood Experience)と言います。

幼少期は脳や体が人生の中で一番発達する時期です。発達初期におけるACE体験は、直接的に子どもの発達に影響を及ぼします。

①神経生物学的影響
脳にダメージをもたらし、ホルモン・自律神経の調節不全を引き起こします。

②心理社会的影響
養育者との愛着(アタッチメント)不全をもたらし、不安型、回避型、混乱型などの愛着スタイルを身につけます。
また、社会化不全をもたらし、保育園や幼稚園、小・中学校への適応が難しくなり、自己効力感の低下にもつながります。

③身体健康を害する行動
中高生になると喫煙、肥満などの行動的問題が現れ、物質乱用や自傷行為、性的逸脱行動などを繰り返すことにもつながります。
一見すると否定的な行動と見られますが、自らの心や体を落ち着かせるための緊急手段でもあります。防衛的適応と呼ばれます。

④長期的影響
ACE体験は疾患や障害、社会適応上の問題など生涯にわたり長期的影響をもたらします。

世代間トラウマ

子供が母親のお腹の中にいる時の体験がトラウマになっている場合もあります。
妊娠中の事故や怪我、飲酒など、または母親が抱えていた大きなストレスが胎児に影響を与えます。

エピジェネティック研究によると、親の世代のトラウマや祖父母世代のトラウマの影響を受け継ぐことも知られています。
親や祖父母が戦争や大きな災害を経験しているとその影響が子供や孫世代に現れることがあります。

大人に見られる発達性トラウマの症状

ACEや世代間トラウマなどの発達性トラウマがあると心よりも体に大きな影響を与えます。
発達性トラウマを持っている大人は、以下のような症状を示します。

・診断上のどんな分類にも当てはまらない説明不能な一連の症状。(自律神経失調症と診断されることもある)
・複雑なさまざまな症候群として現れる。(線維筋痛症、慢性疲労、エリテマトーデスなど)
・処方薬や医療処置への予期しない反応がある。(少量の服薬で副作用が起きる)
・光、音、触覚刺激、あるいは匂いへの敏感さがある。
・自身の内側の体験を追うことができない。(何を感じているのか分からない)
・注意深く内面を感じようとすると、恐怖が起こる。(感じると不快感がすぐに出てくる)
・小さな刺激に対して、強い反応を起こす。(パニックになる、動悸が高まる、汗が出るなど)
・病院で症状は想像上のものだと思われることがある。(詐病、心気症など)
・軽い刺激で過活性状態になりやすい。または、深い凍りつき状態になり、動けなくなる。
・ちょっとした前兆で、突然痛みが激化する。
・介入に対する反応が遅い。1、2日経つと症状がぶり返す。

子供に見られる発達性トラウマの症状

子供に見られる発達性トラウマの症状は、一見すると発達障害と似ています。

(0〜5歳)
・イライラしやすい、怒りっぽい。
・びっくりしやすく、落ち着くのが難しい。
・頻繁にかんしゃくを起こす。
・甘える、大人のそばを離れるのを怖がる。
・同年代の子供に比べて多動、あるいは非活動的。
・身体的発達や言語の発達に遅れが認められる。

(6〜12歳)
・不注意。
・大人しく、引きこもりがち。
・たびたび泣いたり落ち込んだりする。
・物事の切り替えが難しい。
・ケンカっぱやい。
・一人でいたがる。
・食べ過ぎる、または食べない。
・家庭や学校で問題を起こしやすい。
・頭痛や腹痛を訴える。
・指しゃぶりやおねしょ、暗闇を恐れる。

(13〜18歳)
・ルールを守らず、口答えをする。
・疲れやすい。
・睡眠時間が長い、あるいは短い。
・悪夢を見る。
・危険行動や反抗的な態度をとる。
・友達と一緒にいたがらない。
・薬物やアルコールの濫用。
・家出や反社会的行動をする。

ACEチェックリスト

子供時代に次のような体験をしているとACEを体験していることになります。
ACEは発達性トラウマの指標です。ACEが多いと現れる症状も多くなります。

・心理的虐待
あなたの親または成人した家族が、あなたを罵る、非難する、嫌がらせを言うといったことが頻繁またはごく頻繁にありましたか?

・身体的虐待
あなたの親または成人した家族が、あなたを押す、掴む、突き飛ばす、ひっぱたくといったことが頻繁またはごく頻繁にありましたか?

・性的虐待
あなたよりも5歳以上年上の人または大人が、性的な仕方であなたに触れる、触るということがありましたか?

・物質中毒
家族にアルコールや薬物中毒の人がいましたか?

・精神疾患
家族にうつ、または精神疾患の人がいましたか?

・母親/義母への暴力
あなたの母親または義母は、押す、掴む、ひっぱたく、物を投げつけるといった行為を時折、頻繁、またはごく頻繁に受けていましたか?

・家庭内での犯罪行動
家族に刑務所に行った人がいましたか?

その他の発達性トラウマになりうる体験

ACEリストには入っていませんが、以下のような出来事もトラウマになります。
・兄弟が虐待を受けるのを目撃した。
・家と呼べるような居場所がなかった。ホームレスだった。
・子供の時に深刻な事故を経験した。
・父親(母親)が母親(父親)に暴力を振るったり、祖父母が親に暴力を振るうのを目撃した。
・生まれた直後に医療処置のために親から引き離された。
・早期の外科手術、入院、医療トラウマを経験した。
・養子に出された。

発達性トラウマの治療法

通常のトラウマ体験についてはさまざまな心理療法が生み出されています。
トラウマに焦点を当てる方法、トラウマについて話さないで安定を図る方法などがあります。
持続エクスポージャー法、認知処理療法、EMDR、トラウマ焦点化認知行動療法(TF-CBT)などがエビデンスがあります。

発達性トラウマについては、記憶にない場合が多いので心理療法が難しい場合があります。
顕在記憶にあるトラウマは思い出したり話をすることができますが、3歳以前のトラウマは覚えておらず言語化できません。
自転車の乗り方や泳ぎ方と同じように、手続き記憶と呼ばれる潜在的な体の記憶に蓄積されています。
さらに、発達早期のトラウマは脳や自律神経の発達に影響を与えます。

発達性トラウマの治療は、一般的なトラウマの治療とは異なります。
通常の治療法ではトラウマについて話をしたり、回避している行動に挑戦したり、認知を変えることで「今は安全だ、もう大丈夫だ」ということを認識します。

しかし、発達性トラウマを抱えている人は、そもそも「安全」を体験していません。
そのため「安全」を育ててくことから始めていきます。
一番大切なのは安全と安心です。

トラウマによって過活性になっていたり凍りついている脳や自律神経に安全と安心を届けます。
そうすることでトラウマによって発達や成長が滞ってしまった脳や自律神経を育てていくことになります。

トラウマが潜在記憶にあるため通常の心理療法ができない場合には、手続き記憶が残っている身体にアプローチする方法が有効です。例えば、センサリーモーター・サイコセラピー(SP)、内的家族システム(IFS)、ソマティック・エクスペリエンシング®️(SE™️)、SE™️タッチセラピー、Somatic Resilience & Regulation(SRR)などが発達性トラウマの治療法に用いられています。

発達性トラウマを癒したい

草木萌動 Sou Moku Hou Douは、トラウマの解放を専門にしたカウンセリングとセラピールームです。
発達性トラウマをはじめとして、さまざまなトラウマやストレスを抱えた方にご利用いただいています。

これまで医療機関にかかったり、カウンセリングを受けても解消しなかったとしたら、もしかすると、症状や問題の背景に発達性トラウマが隠れているかもしれません。

発達性トラウマがあると症状が移り変わることがあります。
体のどこかに不調が出るのを繰り返し、内科、呼吸器科、消化器科、胃腸科、腎臓内科、循環器科、泌尿器科、眼科、神経内科、心療内科、精神科などにかかっている方もいます。一度、表に現れている症状や問題の根っこを探ってみませんか?

草木萌動 Sou Moku Hou Douでは、発達性トラウマを癒すためのセッションを提供しています。
・ソマティック・エクスペリエンシング®️(SE™️)
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その他のセラピーやコーチングなども提供しています。
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